◆被験者が男性のケース
血液検査の結果、エストラジオールの数値が基準値の範囲よりも高くなっている場合。
このようなケースでは、どのような疾患の可能性が検討されるのかについて見ていきましょう。
まず被験者が男性のケース。
男性の場合のエストラジオールの正常範囲は20〜60pg/mlの範囲でしたね。
ですから、もし60pg/mlを大きく超えてくるような場合は何かしらの疾患を発症している可能性を検討していかなくてはいけません。
ここで最も検討される疾患の可能性のひとつが、肝臓の疾患、肝機能の低下などを原因とする「肝硬変」の可能性です。
◆肝硬変になるとホルモンの分解能力が低下する
肝硬変は肝機能の低下に伴って徐々に肝臓の状態が悪化する疾患のひとつで最終的に肝臓がんへ進展する可能性をもつ油断できない肝臓疾患のひとつです。
肝臓は過剰に分泌されたホルモンを分解する働きがあり、肝硬変になるとこのホルモンの分解機能も低下します。
エストラジオールは女性ホルモンに分類されるホルモンのひとつである為、男性の場合はこの分解がなされなくなることで血液中の濃度が上昇してしまうのです。
血液検査の結果、検査数値が異常値を示すケースでは、このように肝硬変を既に発症しており、ホルモンの分解能力が低下している可能性が検討されることになります。
尚、エストロゲンもプロゲステロンとともに女性ホルモンと呼ばれるホルモンでもあり、数値の上昇の結果、女性化乳房現象を発症するケースも確認されております。
非常に少ないケースですが、男性の胸が大きく成長していくるようなケースではエストロゲンの主要成分であるエストラジオール数値の上昇が確認されます。
◆数値が高いケースの疾患の可能性(女性)
女性の場合は、まず何よりも「妊娠の可能性」が検討されます。
妊娠中の女性のエストラジオール数値は極端に高い数値を示すようになるので、この点は非常にわかりやすいと言えます。
また妊娠の可能性のほかにエストラジオール数値が高い場合に考えられる症状や疾患としては以下のような疾患の可能性が検討されます。
〜数値が高いケースの疾患の可能性(女性)〜
★副腎皮質過形成症候群
★肝硬変
★エストロゲン産生腫瘍
★卵巣機能障害